Yuark=Kedash & Koya=UN ♮ α

 

 

うわぁぁあ!!

 

コーヤくぅうううん!!!?!?

 

 

 ユウクさーん

     みてくださーい

             毛がー

 

なんということだ!?

 

これは…そう!

長さが…!!長い!!!(バァアアン!!

 

 

これはこれでオシャレさんかもー

 

デュフフフー

 

僕も僕で、

ここでは短かった足が長くなったりして、

嬉しいことこの上ないんだが…

 

なんだか複雑な心境だな。

 

 

今がいつで

ここはどこなのかもわかりにくいねー

 

そうだなァ。

田口さんにお知恵拝借して、

この世界に来てみたはいいが、

ここは想像以上に変な次元のようだ、コーヤ君。

次元の構成元素とやらも、魔法世界とは随分違うらしい。

 

 

こんな変な世界を

 

いくつも冒険してかなきゃならないんだよね?

 

そういう事になるな。

 

でも、これも魔法石鹸…違う。魔法世界のためだ。

全ての次元世界の為でもあるというのがまた皮肉なものだ。

 

ムズかしい話、ボクはわからないけれど。

 

でも、ボクらの世界に何かが起こるってことは嫌でもわかるんだ。

いつものんびりゆっくりしてきたボクだけど、

やっぱりみんながかなしい顔するのは嫌だよ、ユウクさん。

 

そうだな。コーヤ君。僕だってそうだ。

 

― 僕はあの日…次元の穴を通じて、

僕らの想像を超えた“とんでもないモノ”が

魔法世界にずっと干渉してきていたことを知ったんだ。

 

田口さんにユウクさんが視たモノを見せてもらって…おどろいたよ。

 

ボクも、その正体まではわからないけれど。

魔法世界で悪さするような、ああいういきものとは…

そもそも、元の元から…ウン。次元がちがった。

 

あァ。

 

一方的で、暴力的で、

ある意味…子どものような。

 

 

…アレ、泣いてた。

 

 

コーヤ君には、そう見えたのか?

 

ウン。

確かに…アレはすごく悪いモノではあるけれど。

でも、憎めない感じがする。とてもくるしんでいるようにみえた。

 

ユウクさんは、

  アレを子どもって言ったけど。似てる。

 

  どうやったら、自分がお腹すいてるって伝えられるのか知らなくて。

  でも、みんなにわかってもらいたくてもがいてる…赤ちゃんみたい。

 

 

しかも、伝える力。想いの力…か。

僕らがあの日、解明できなかったモノ。“元素P”。

 

あの元素を通じてなのか、問題のそのラスボスとやら…。

 

ウン。

 

こんな世界征服なんてかなしいよ。

 

みんな、みんな…

  自分が何をやってるかわからないまま、暴走しちゃってる。

 

 

口汚い言い方ではあるが… 反吐が出るな。

── 魔王みたいなのに滅ぼされる方がまだマシだ。

 

今のは一例として出したに過ぎないが…もう、既に。

恐らくそのような存在も…

  件のラスボスのようなモノの影響を受けて、

 

  必ずこの魔法世界に手を伸ばしている。それは間違いない。

 

 

でも、

本当の問題はそこじゃないんだよね?

 

ユウクさん。

 

 

ああ。

 

ラスボスとやらは、

自分の感情のようなモノにシンクロする者や、

そういう存在の干渉やらの 力 を

  元素P を媒介して働きかけ、ことごとく増幅してるんだ。 

かなり根本的な段階…次元から。

心からの“願いを叶える”それが近いのかもしれない。

 

でも、そうして叶えられた“願い”は、

いつからか生きて動いている内にひン曲がってしまう。

自然に…いつのまにか、ラスボスと『同じ』になっていく。

僕らの次元よりもずっと上の存在だから出来ることでもあるんだろう。

誰が正しいか正しくないかじゃない。それも理解らない。故に怖い。

 

── だから、ややこしくなってた。

本当に…僕らが向かうべき敵がわからなくなってたんだな。

 

みんなだって、オジノー学園長だって、すごい学者さんだって。

こんなことが世界に起こってるだなんて、理解ってなかった。

 

みんな…

たくさんのこと背負ってるから……かなあ。

 

あっはっは。

僕らは、きっと…そうだな…“はみ出し者”だからかもしれないな。

今こうしてやっていることが理解されないかもしれなくても…

 

── ともかく。

このラスボスをどうにかしなければ、根本的な解決にならないんだ。

 

ラスボスの想いのようなモノ…

元素Pを介して曲げられた“次元の歪み”のようなモノを、

沢山の次元や世界の時空を旅して、数えきれない人たちと話しながら。

こうして次々と修正していっているのも…今の僕らの大事な役目だ。

 

最初は、ちょっとしたことなんだよね。

 

とってもちいさなヒビが、

みんなの色んな想いをいっぱい巻き込んで、

いっしょにどんどん大きくなる。どうしようもないぐらい。

 

  その、いっちばんはじめの場所をボクらは繋いでいく。

  だれも、かなしまなくていいように。ホントの笑顔に、するんだ。

 

そうだな。

時間の流れの一点だけで、たとえ誰かを倒していったとしても、

また、次のターゲットに変わるだけ。

 

それは、

誰かを倒した自分自身かもしれない。

 

元々正義なんてないのかもしれない。

悪だったモノが正義に。正義が悪に。その連続だ。

何回でも繰り返されて、どんどん…酷いことになる。

 

  苦しみ憎しみ悲しみ…良くない連鎖が続いていって、

  人々の想いが、まるで雪のように積もっていく。重く…強くなっていく。

 

 

そんな世界、嫌だよ。

 

それに…なにより……。

 

 

 

そう。

 

例のラスボスが…

どんどん…強くなっていっていく。

遂には…

この世界そのものが。

 

魔法世界だけじゃない。

 

シオネさんが行っている世界も、田口さんがいる場所も、

僕のようで僕じゃない誰かのいる世界も。

僕に繋がる人たちも。

 

全ての世界が、全ての次元が…

 

最悪の事態を迎えてしまう。

 

 

うん…このこと…

これまでのボクらだったら…きっと理解らなかった。

 

ホントはそうじゃないのに、いつのまにか誰かを憎んでいて、

すごくステキだって想ってたものを信じられなくなって、

昨日まで ともだち で、

いっしょに笑ってた大好きな子が… 知らない間に、敵同士で。

きらいあってるなんて…やっぱりおかしい。

 

夢はおんじなのに。みんなおんなじことかんがえてるだけなのに。

ほんとうは、みんな…なかよくできるのに。

 

それを、防ぐには。

ちゃんと仕組みを理解した上で。

修行を積む必要があるんだよな。

 

なんというか…。

 

自分の本当にやりたいモノ。自分が本当に大切に想ってるモノ。

それを心から意識して、想いに沿って、行動する必要がある。

 

元素P…

あの宗教団体は『ピュアミウム』って呼んでいたな。

そのピュアミウムとやら―

僕らも、持っているわけだから。

 

ラスボスに逆に利用されないように。付け入る隙を魅せないように。

自分の心と常に戦って、研ぎ澄まして、解決策は人それぞれで。

 

いつでもベストな自分 を保たなきゃいけないんだよな。

 

 

でも、それが理解ったのも、

 

ゆーくさんのおかげだよ。

 

 

ありがとう、コーヤ君。

 

しかし──

 

…まだ、アスラさんのこと。

 

それから―

エピュウさんのこと。

               気にしてるの?

 

 

 

なンでもコーヤ君には、お見通しか!

あっはっは!

…まァな。 僕だって、所詮…人だから、な。

 

アスラさんたちには…悪い、とは。想ってる、少しは。

 

でも、僕は、助けなくちゃならないって。助けたくて。

助けたいだけだったんだ。皆を。そうやって、自分も―ッ

 

 

…ボクには、よくわからないことだらけだけど。

 

この間、ゆーくさんが手伝ってあげたシオネさんも。

もし、巻き込まれてたとしても。択んだのはシオネちゃんで。

シオネさんにとって必要なこと。大事なことに向かってる。

今はぜんぜん相手の気持ちがわからなくて、

すごく遠くて…はなれてるようにみえるかもしれないけど。

 

── きっと、またあえる。

だって、ボクたちは友達だもん。仲間だもん。

 

  ゆーくさんがいつも言ってくれてるように。

  自分のやれること。出来るはんいのことするのがいちばん。

 

 

そうだよ、な。 あっはっは!

 

僕らだから出来ること。僕らだから視えること。きっとあるはず。

ずっと魔法世界に干渉しているラスボスのことだって…

僕が別次元の穴に

自然に出たり入ったりしてたから理解ったことだしな。

 

きっとこんな風に

無意識に自然にやってる事。これが自分の本来で。

迷ったり、立ち止まったりした時は、正解だったりするのだよな。

 

 

ボクは元からなんか、ブレるってこと。

ゆーくさんが前言ってくれたように無いみたいだから。

 

ずっとそのままで居られたし、

あの日あんな道を択んでも、おんなじでいられた。

ちいさい時から、このことは少し気にしてたんだ。

でも、これでいいって理解った。

 

理解ってくれる人…

ゆーくさんも、こうしていっしょにいる。いっしょに戦える。

僕はそれが自分の出来ることだって知って、うれしかったんだ。

 

 

 

コーヤ君…!

 

   君ってヤツは…っ!!

 

 

 

テフェフェー

 

よしっ!

 

では、

そろそろ出発するか!

 

 

コーでなきゃね!

 

ウン!